バブルが崩壊するまで、土地はつねに値上がりするものと思われていました。土地が大きな資産形成の手段となる、いわゆる「土地神話」です。しかしバブル崩壊後地価は大幅に下落を続け、値上り益が望めない以上、資産としての土地の魅力は薄れます。平成13年版の「土地白書」(国土交通省)は、「土地は預貯金や株式に比べて有利な資産か」という質問に対して、そう思わない人が38・8%となり、そう思う人の34・2%を初めて上回ったことを報告しています。「土地神話」はすでに崩壊していることを、はっきりと物語るデータといえるでしょう。
土地を買っても資産価値が下がってしまう。それなら買うことはない、利用できればいい。そう思う人が増えるのは当然です。土地は「所有価値」よりも「利用価値」が問われる時代になってきました。また、不況が続く中、返済の不安から土地購入にともなうローン増を少しでも抑えようという意識も強まっています。定期借地権に注目が集まる時代背景がここにあります。 |
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定期借地権は、借地の供給を拡大するために、平成4年8月1日に施行された新借地借家法に盛り込まれた制度です。一般定期借地権、建物譲渡特約付き借地権、事業用借地権の3種類がありますが、一戸建住宅用としては借地権設定期間を50年以上と定めた一般定期借地権が利用されています。簡単に言うと、地主と借地契約を結んだ土地に自分の家を自分で建てて暮らし、期間満了時には更地にして返すというものです。土地は買わずに、利用してマイホームを実現するというスタイルだと言えるでしょう。
定期借地権は貸し手側にも多くのメリットがあります。旧借地借家法では「一度貸した土地はなかなか戻らない」という問題点がありましたが、定期借地権では必ず戻ってきますから、安心して土地が貸せます。しかも安定収入が得られ、節税対策にもなります。「家が買えて、土地が返る」定期借地権は、これからの時代にふさわしい土地活用法のひとつと言えます。 |
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