和の知識
2.床の間
 

床の間は、和室の構成要素の中でも最も伝統的な法則があり、格式が重要視され、和室の象徴として
大切にされている。

四季を演出し、お客様を迎える「顔」でもあるため、床の間を背にして座る位置が上座である。

床には掛軸が掛けてあり、香炉・花入れが置かれ、違い棚には飾り物があるのが、本来の形である。
 
 
● 種 類

(1)本 床

 
最も一般的なもの。
床框・床板・床柱・落掛けなどを備えている。
 

(2)踏込床
 
 

床框がなく、座敷の畳面と同じ高さに地板だけを設けたもの。
 

(3)織部床

 
 
床の間の位置にあたる場所の天井回り縁の下に、幅18〜21pほどの化粧板を貼り付けたもの。
 

(4)釣 床

 
 

壁床ともいう。柱の心より45pほど前方に天井から吊束を下げ、これに落掛けを取り付け、小壁を設けたもの。
下は畳敷きのままとする。
織部床も釣床も部屋に対してのへこみはない。
 
● 構 成

床の間は図に示すもので構成されている。

それぞれの名称

@竿縁天井 A竿縁 B欄間 C小壁(下り壁) D障子 E付書院 F床 G床框 

H狆潜り(ちんくぐり) I天袋 J地袋 K地板 L廻り縁 M落掛け N床柱 O底板 P違い棚
 
 
 

この中のH狆潜りは、動物(犬)の狆がくぐれるような隙間としてこの名称がついているのだが、本来は、書院から採り込んだ光を違い棚の下側の奥まで、とどかせる役目を持っている。
 
 
● 床材の組み合わせ

床の間を構成するもののうち、床柱・床框・落掛けの3つには、色や材質による材料(床材)の伝統的な組み合わせがある。
これらは予算や好みによって選ぶ。
  
代表的な組み合わせ
  組み合わせ@ 組み合わせA
床 柱 紫 壇 杉の絞り丸太
床 框 黒 壇 うるし塗り
落掛け 鉄刀木(たがやさん) 杉板・桐
  
● 床の間の向き

床の間はお客様を迎えるのに、一番いい部屋に設けるもので、風通しや採光にも注意する。
床の間が東か南に向くように設計する。
 
 
 
● 床脇との位置関係

床の間は床脇との位置関係で呼び方が変わる。
 

(1)本勝手
 
 
床が左側で床脇が右側にくる。採光は左側からとなる。
 

(2)逆勝手
 
 
床が右側で床脇が左側にくる。採光は右側からとなる。
 
● 床脇棚

床脇棚は、そのものが床の間の飾りである。実用的な棚ではないので、あまり頑丈な造りではない。
 
 

(1)種 類
 
 

種類は48種類ほどあるといわれるが、代表的なものを以下に挙げる。
 
 

(2)違い棚
 
 

違い棚は、床脇棚の代名詞ともされるものである。高さの違う棚を2段組み合わせるものだが、床に近い側が高い方の棚となる。
狆潜りから採り入れた光をさえぎらないためである。
 
 

また、元来、違い棚には置くものが決まっていた。
高い棚…冠・香炉・筆
低い棚…烏帽子・壺・印判・巻物・書物・硯箱
高い方の棚の中央側には、置いた筆が転がって落ちないように「筆返し」が取り付けられ、現在も装飾として残っている。
地袋も昔は鎧を入れた鎧櫃を収納する場所であったため、幅・高さとも基準となるサイズがあった。
プランニングの際には、違い棚に何を置くのかを聞き、それに合った寸法で設計し、全体のバランスを整えていく。
 
 
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